「一人は、あたしの第二のお母さんみたいな人。


行き倒れてたあたしを助けてくれた。

ご飯を食べさせてくれて、そのころはすごく貴重だったお風呂にも入らせてくれて、家に住ませてくれて………。


本当にあったかい人だった。

あたしを本当の家族みたいに大事にしてくれて、心配してくれた」




俺は相づちをうちながら聞いていた。



そこで百合の言葉が止まったので、俺は先を促すように、「もう一人は?」と訊ねる。



すると、百合の瞳がゆらりと揺れた。


複雑で微妙な、感情の読み取れない色が浮かんでいる。




「………百合? どうした?」



「うん………大丈夫」




百合は何かを覚悟するように、大きく息を吸い、そしてゆっくりと息を吐いた。