俺は圧倒されて言葉も出ない。



信じられない話だった。



でも、百合は嘘なんかつかない。


百合は確かに、自分が体験したことを話しているのだと、俺には分かった。




「………本当にひどい、残酷な世界だったけど………。

でも、そこで出会った人たちは、みんな優しくて、温かくて………」




何かとても大切なもののことを思い出したように、百合の目が細くなった。




「どこの誰かも分からないあたしを、みんなが助けて、そして受け入れてくれた。

そこであたしはーーー二人の大事な人に出会ったの」