観光地でも海水浴場でもない海には、ほとんど人がいない。



近所の子ども連れが潮干狩りをしていたり、おじさんが堤防で釣りをしているくらいのものだ。




俺は百合と並んで砂の上に腰を下ろし、ぼんやりと海を眺めた。




夏の真昼の明るい陽射しを受けて、海面がどこまでも白く煌めいている。



波も穏やかで、遠くを船がゆっくり横切っていった。




百合は目を細めて、押し黙ったままで遠くの海を見つめている。



しばらくして、すうっと目を上げ、空の彼方に視線を向けた。




「…………ねぇ、涼」




静かな声が、海風の合間から聞こえてきた。



「ん?」と目を向けると、百合は空の彼方を見つめたまま、こう呟いた。




「生まれ変わり、って、信じる……?」