「…………やべー、もう………」




俯いた顔を両手で覆い、俺は絞り出すように呟いた。



百合が、よく聞こえない、というように、「え?」と首を傾げるのが気配で分かる。




俺は指の隙間から百合を見る。



そして、気がついたら、こう言っていた。





「もう、すげー好き………」





「…………え?」






百合が目を丸くして俺を見つめ返す。



しばらくそうしていて、俺の言葉の意味が急に腑に落ちたのか、




「…………っ」




百合は息を呑んだ。



それから、色白の頬が、みるみる紅く染まっていく。




いつも落ち着いている百合がこんな表情をするのは初めてで、俺のほうまでどきどきしてきた。




「……………」



「……………」




自分で言っておいて、俺は頭が真っ白になり、それからなんと言えばいいのか分からなくなってしまった。





俺たちは無言のまま電車に揺られる。



いつの間にか、目的の駅に近づいていた。