星奈の横顔は、心配事がひとつ減ったかのような、清々しいものだった。
「何かあったらいつでも話聞くからね」
「……ん。ありがと、星奈」
“何かあったら”……。
陽があたしを“先生”じゃなくて、天川さんと同じ“女の子”として見てくれない限り、何も起こらないんだろうな。
きっと、あたしの気持ちの問題。
好きな人の恋を応援するなんて、どれくらいつらいことなのか、あたしにはまだ想像もできないけど……。
とにかく、悟られないように気をつけよう。
あたしの存在が、あたしの気持ちが、陽の恋路の邪魔になってはいけない。
「誰にも言わないでね」
秘密の恋にしておかなきゃいけない。
「わかってるよ。でも、こんなチャラい朔乃が、地味でおとなしい有明くんのことが好きだって皆が知ったら、さぞかし驚くだろうねぇ〜」
クラスメイトたちの驚いた顔を想像して、にやにやと怪しく笑う星奈。
「ちょっと!絶対言ったらダメだからね!」
「はいはい」
あたしが慌てて念を押すと、星奈はイタズラっぽく笑った。