放課後。いつものように陽と教室に残っていた。
「だいぶ緊張しないで話せるようになったんじゃない?」
あたしが言うと、陽は嬉しそうに頷く。
「はい!」
「じゃあ、そろそろ連絡先聞いてもいい頃ね。よし、頑張れ」
「はい!」と、そのままのハイテンションで返事したかと思いきや、陽は突然固まって。
「うえええぇぇっ!? れれれ、連絡先……!?」
盛大に後ろに仰け反った。
うん。今日面白い反応を見せてもらえて満足だ。
最近では、こんなふうに陽をおちょくるのがあたしの密かな楽しみになっていた。
「む、無理ですよ!」
「えー、何で」
「どう切り出せばいいのかわかりません……」
力なく答える陽。
あたしは、そんな彼をビシッと指さす。
「こら!弱気になってちゃ、あの天川さんを振り向かせることなんてできないって何回も言ってるでしょ!」
「す、すみません」
身を小さくしながら謝る陽だけど、実際彼は結構頑張っている。
それはわかっているけど、自分に自信がないあまりすぐに弱気になるのが陽のダメなところだ。