「そっか、そうだったね、陽にはいるんだった……」


誰もいない教室で、あたしの乾いた笑い声が響く。


陽にはいるんだった、大事な人が。
そんな人に、あたしは何を期待していたのだろう。


わかっていたのに、どうして、会いたいなんて。
どうして、あたしの孤独を埋めてくれるのが陽だなんて。


そんなことを思っていたのだろう。


邪魔しちゃいけない。あたしなんかが。
応援しなくちゃいけない立場なんだから。


『わからないところがあったら、またいつでも言ってくださいね』


昨日の陽の笑顔が頭に浮かぶ。


わからないところがなかったら、あたしからは極力陽には関わらないようにしなきゃ。


必要以上に一緒にいると、天川さんにあたしとの関係を勘違いされてしまうかもしれないから。


陽は、恋愛の日と勉強の日をかわりばんこにす るって言ってたけど、週一ぐらいにしてもらお う。


“あたしのために”、陽が必要以上に時間を割くことはない。


「早いとこ、遊んでくれる男作っとこ」


陽のあのキラキラした目を見る度に、あたしの中で初めて“何か”が生まれてしまいそうだから……。