「朔乃のことだろうから、自分は恋愛の先生のくせにこんなふうにモヤモヤ悩んで人の事偉そうに言えないとか思ってるんだろうけど、それは違うからね」
「え……?」
「朔乃は、有明くんの“先生”である前に、ただ彼に恋をしてる“普通の1人の女の子”だってこと!」
あたしは、ただ陽のことを好きな普通の女。
だから、こうやって悩んだりうじうじしたり、困って友達に相談するのも、全部自然なことなのだ、と。
星奈は苦笑しながらも、優しく諭してくれた。
「とにかく、私が言えるのは、振られる可能性は“絶対”じゃないってこと。でも、そのことでいろいろ悩むのは、恋する乙女なら自然なことだっていうこと。その2つ。わかったら、ほら」
星奈は、あたしの手から氷水を取り、あたしの 鼻の穴に詰め込まれていたティッシュも引っこ抜く。
いつの間にか、鼻血は止まっていたらしい。
「みんな心配してるだろうから、戻るよ」