「ごめんなさい」



ぺこりと頭を下げる。


「えっ……」


小さな声が聞こえてから返答がなかったので、ゆっくりと顔を上げると、後輩くんは泣きそうな顔で何故か必死にあたしに訴えてきた。


「何でですか!? 俺、本気じゃないです!!先輩とちょっと軽く付き合ってみたいだけなんです!! 体育祭のリレーで走る如月先輩に一目惚れしたとか、そんなんじゃないですから!!」


なんてこった!全部見事にボロボロと漏らしてしまつているぞ!他でもない君のその口から!


なんだかこのちょっと抜けてるところ、すごく陽に似てるなぁ。可愛い。
って、この場にいない陽を思い浮かべてニヤニヤするなんて、あたしは相当陽のことが好きらしい。


やっぱり、本気かそうじゃないかは一旦置いとくとして、君の気持ちには応えられそうにない。


「本当にごめんなさい。あたし、好きな人がいるの」


「好きな人……ですか……?」