「陽、早く。打ち上げやるよ」
「えっ!いや、僕はここで……」
あたしに呼ばれても戸惑う。
でも、「ここでいい」なんて、本当にそんなこと思っているわけがない。
やっぱり、まだクラスの輪に自分から混じることは苦手なのかな。
そう思った矢先に、クラスの男子たちが陽の肩をがしっと組み、こっちに引き連れてきた。
「何言ってんだよ、今更!有明だって、このクラスの一員じゃねーか!」
「……!」
陽の顔が少し照れたように赤くなり、それから嬉しそうに明るくなっていく。
「そうだよ、有明くん!なんで遠慮してんのー?」
「有明も合格おめでとー!」
そんな声を受けながら招き入れられれば、戸惑っていた陽だって自然と顔がほころぶ。
「ありがとうございます!僕も皆と同じクラスになれて幸せです!」
陽がやっと輪に入ったところで、打ち上げが始まった。
卒業まで、あと約1ヶ月。
それを今日だけは忘れて、皆と笑い合う。
また思い出が増えた瞬間だった。