大学生っぽく髪を染めるとか、逆に髪をバッサリと切って爽やか系を目指すとか、いろいろ教えてみたけど陽はあまり気が乗らない様子。


「うーん……髪の毛をいじるのはちょっとハードルが高いかもです……」


「えー!でも、せめて前髪を分けるぐらいはしたほうが重たく見えなくていいと思うよ!」


あたしは陽の前に立ち、そのもさもさとした前髪に手を伸ばす。


「こーやって!ほら……」


髪を左右に流して、陽の目を見ると、陽がメガネ越しにあたしをじっと見つめていて。


いつもは前髪に隠れがちな目でまっすぐに向けられたら、どうしたって見とれてしまう。


「朔乃先生?僕の顔に何かついてますか?」


「あ!ううん!ごめん!なんでもない!」


あたしは、慌ててくるりと回れ右をして、ずんずんと足を進める。


そうだった。あたしは決めたんだった。


合格したら、陽に告白するって。


それを急に意識して恥ずかしくなり、それから学校まではずっと陽の前を歩くしかなかった。