初詣が終わり、家に帰ると。
お母さんの靴と、それより一回り大きくて見慣れない革靴が玄関に並んでいた。
嫌な予感がする。まるで警告するみたいに、ドクンと心臓が跳ね上がる。
“ただいま”なんて言わずに、忍び込むようにしてリビングに足を踏み入れた。
「……っ!」
ダイニングキッチンに立つお母さん。何年も見ていなかった姿だ。
それだけで驚いたのに、さらにあたしの言葉をなくすほどの驚愕の光景がそこにあった。
「お前……!」
我が家のソファーに座って、テレビを見ていたのは……なんと海星というあの大嫌いな男だったのだ。
何で?どういうこと?
今まで、男を家にまで連れてくることなんてなかったのに。
混乱するあたしの手からバッグがドサリと落ち、その音でリビングにいた2人があたしに気付いた。