星奈の最後の言葉に、あたしの肩がぴくりと跳ね上がる。


星奈は、あたしの家のことも、この間のことも全部知っている。
だから、あたしをこんなふうに気にかけてくれることは本当に感謝している。


だけど……。


「……新年早々、あんな母親のことなんて思い出したくなかったな」


あたしのぽつりとつぶやいた一言に、星奈は少し困ったように眉を下げる。


「ごめんね。私が勝手にお願いしただけだから気にしないで。朔乃が、そんな悲しいことを言わなくてもいいような関係になれますようにって」


星奈の温かい言葉を素直に嬉しいと思うけど、だからといって、お母さんとの関係をどうにかしようなんて1ミリも思わないのが本音。


ごめんね、星奈。
たぶん、無理だと思う。
あたしはあの人のことを、たぶんこの先も許せないと思うから。


「あ、星奈!お腹すいた!屋台で何か食べよう!」


お母さんの話題から逃げたくて、あたしは屋台のほうへと向かった。