境内へと続く階段を駆け上がる。
ちょうどタイミング良く空いていたので、すぐにお賽銭を投げ込み、鈴を鳴らす。
手を叩いて、目を閉じ、あたしはお願い事を心の中で目一杯神様にぶつけた。
受験が無事に終わりますように。合格しますように。
それから、星奈と今年も仲良くいられますように。
あとは、えっと、そうだ。
陽に……想いを伝えられる時が来ますように。
「終わった?朔乃」
「うん」
目を開けて顔を上げると、先にお参りを終えていた星奈が笑いかけてくれる。
「星奈は何をお願いしたの?」
「私はね、朔乃が幸せになれますようにって」
「え……」
てっきり自分の事をお願いしたものだと思っていたあたしは、予想もしていなかった星奈の返事に驚く。
「あたしのこと……?」
「うん。受験も、有明くんのことも、それから……お母さんとのことも」