「わ、私っ、大宙くんのことが好きです!ずっと、ずっと好きでしたっ……」
……ああ、最悪な場面に出くわしてしまった。
悪い予感がど真ん中で的中してしまったらしい。
「え……」
小さく漏れた陽の声は、ひどくかすれていた。
どうしよう。大宙くんに先を越されるどころか、天川さんのほうから告白しているところを陽が目撃してしまうなんて。
告白する前から、間接的に振られているような状況の中、あたしは一体彼にどんな言葉をかけてあげられるだろうか。
「陽……」
その答えは見つかっていないけど、とりあえず名前を呼ぶ。
すると、我に返ったらしい陽は、呪縛が解けたみたいに走り出した。
まるで、天川さんと大宙くんから逃げるように。
「待って!陽!」
慌てて陽のあとを追いかけ、さっき、あたしがそうしてもらったように腕を掴んで引き止めた。