「よう、如月」


片手をあげて、大宙くんと、たぶん友達らしき男子がやってきた。


「おー!大宙くん!」


「結構忙しそうだな」


「おかげさまで。二人もやってく?」


「うん」


じゃあ並んで、と最後尾を指差すと、大宙くんは歩いていった。


だけど、大宙くんの隣にいた友達は、大宙くんの後を追わず、その場でじーっとあたしを見てくる。


「あの……?」


「あんたが遊びでしか男と付き合わないって噂の如月朔乃ちゃん?」


「……はぁ」


否定も肯定もしないでいると、にこにこと人懐こい笑顔を向けてくる大宙くんの友達。


「へー!やっぱりそれなりに可愛いよね!俺、結構タイプかも!」


あたしは、自分の名前もまともに名乗れない人はタイプじゃないです。


心の中ですかさず突っ込み、とりあえず苦笑する。