映画デートをキャンセルされた陽が、それでもなお、雨の中待ち合わせ場所で立ち尽くしていた時みたいな。


あんなつらくて悲しそうな陽の顔は、もう見たくない。


「お願い……。せめて、文化祭が終わってからにして」


「……やっぱり、有明は文化祭の時に告白するんだな」


あたしの必死な様子から、大宙くんは、何も言わなくてもズバリわかってしまったみたい。


「有明を応援したいお前の気持ちはよくわかる。だが、断わる」


「大宙くん……!」


「ライバルが告白しようとしてんのに、それをわかっててみすみす先を行かせる奴がどこにいるかよ」


大宙くんの言う通りだ。
陽を先に告白させてあげて、なんて、そんなことを大宙くんにお願いするのは間違ってる。


だけど、陽は確実に振られる。


だったら、せめてあの日叶えられなかったことを、最後にさせてあげたい。


「ごめん、大宙くん。でも……」