「じゃあ有明、勝負しようぜ。どっちが相応しいか」
「勝負……?」
「あれで白黒つけようじゃねーか」
唐突な大宙くんの提案に、陽は怪訝そうに眉をひそめる。
たぶん、どっちが天川さんの男に相応しいか、対決するつもりなんだろう。
でも、どうやって……。
あたしが首を傾げた時、大宙くんが指を指し示したのはヨーヨー釣りの屋台。
「どっちが多くヨーヨーを釣れたかで勝負だ!」
……ええぇぇ〜〜……。
たぶん、全員が心の中でそう思っただろう。くだらない、と。
いや、全員ではなく、一人を覗いて、だ。
「わかりました!やってやりますよ!」
陽は、気合十分といった様子で腕まくりをしていた。
さすがの天川さんも苦笑いを浮かべている。
彼女の場合は、どうしてそんな勝負をやるかさえわかっていないから、余計理解しがたいだろう。