大宙くんは、まるで陽に見せつけるかのように天川さんの手を引いて歩いていく。


勝ち誇ったような大宙くんの隣で、天川さんが頬をピンク色に染めて俯いたのがわかった。


「ちょっと陽!大宙くんに天川さん取られてちゃうわよ!早く反撃しなさい!」


「えっ?いや、あの?」


いまだに大宙くんがライバルだとわかっていないのか、それともこの状況をまだ飲み込めていないのか。


戸惑う陽に構うことなく、あたしは大宙くんがいるのとは逆の天川さんの隣に向かうよう、陽の背中を押した。


「邪魔すんじゃねーよ、有明」


「そ、そんな言い方しなくてもいいじゃないですか……」


「まあまあ、二人共。よくわからないけど仲良くしようよ」


あまりにも敵意を剥き出しにされて、さすがの陽もムッとする。
それを慌てて、天川さんが文字通り間に入って仲裁していた。