その人物が誰なのかわかった途端、あたしはこの先修羅場になると直感して冷や汗が流れた。



「大宙くん……!」



天川さんに名前を呼ばれ、金魚すくいをやっていた大宙くんは立ち上がって振り返る。


あたし達を見るなり目を丸くして、それから天川さんの浴衣姿を目の当たりして真っ赤になっていた。


「ななな何で……ここに……天川……!?」


「私たちもお祭りに来てたの」


突然の天川さん降臨に、明らかな動揺を隠せない大宙くん。ちょっと面白い。


「そ、そうだったのか……じゃなくて!何で天川と有明が一緒にいるんだよ!?」


「えっ?」


ぽかんとしていた陽に、大宙くんは指をさして怒りを露にするけど、陽は大宙くんと初対面だからオロオロするばかり。


あたしが事の経緯を説明すると、やっと落ち着きを取り戻してくれた。