陽は、思わず天川さんの視線から逃れるように俯く。それでも、落ち着かない様子でちらちらと天川さんのほうに目を向けていた。


「天川さん、その……とても似合ってます……」


「本当?嬉しい、ありがとう」


天川さんから笑顔を向けられただけで、陽は一瞬で真っ赤になった。


無理もないよね、天川さんの浴衣姿なんて見てしまったら。


白地に淡いピンク色の蝶があしらわれた浴衣は、天川さんの優しい雰囲気にピッタリで。
いつもおろしている綺麗な長い髪は、浴衣に合わせた髪飾りで、アップにされていた。


天川さんは女のあたしから見ても輝いていて、あたしの浴衣姿なんか比べ物にならないくらい綺麗だった……。


「あ、天川さんも、このお祭りに来てたんだね」


なるべく平常心を装いながら、あたしは天川さんに話しかける。
黙っていると、どんどん顔が険しくなってしまいそう。


「うん。受験勉強の息抜きに……と思って」