「大宙、ちょっといいか」
天川さんと大宙くんが盛り上がっていると、大宙くんの担任の先生が入ってきた。
大宙くんは教室を出て行き、中にはあたしと天川さんだけになる。
ほとんど話したことのない、恋敵だ。
「……じゃ、じゃあ、あたしはこれで」
なんとなくいたたまれなくなり、あたしは早いとこ先生に提出してしまおうと席を立つ。
だけど、足が止まった。いや、止められた。
「あ、あのっ、如月さんっ」
「へっ……えっ!?」
天川さんは、あたしのYシャツの裾を控えめに掴み、女のあたしでもドキッとするような上目遣いを向けてきた。
か、可愛い……!
……じゃなくて!
「……あの?どうしたの?」
あたしが促すと、天川さんは少し言いにくそうに目線をさまよわせたあと、意を決したように口を開いた。
「き、如月さん、さっき……その……何話してたの……?」
最後の方は声が小さくて聞き取りにくかったけど、確かにそう言ったような。