長くて綺麗な髪を揺らして、天川さんは軽く会釈をする。
あたしにはない華やかな雰囲気が辺りに漂い、この進路室に一気に花が咲いたみたい。
隣にいた大宙くんは、さっきまで涼しい顔をしていたのに、明らかにたじろいでいる様子。
「大宙くん、明日企業見学なんだよね。頑張ってね」
「お、おう!あたりめーだぜ!」
2人が一緒にいるところを見たのは初めてだけど、余裕しゃくしゃくで陽を諦めさせようとしてきたくせに。
確かに陽ほどではないが、大宙くんもわかりやすいタイプの人だった。
でも、天川さんはやっぱり鈍いのか、気にもとめないで大宙くんにニコニコと微笑みながら話している。
ふわふわした柔らかい雰囲気で、リラックスできるようなところが、大宙くんは好きなんだろうな。そして、陽も。
あたしとは真逆な天川さんのことが……。