軽く挨拶を交わすと、大宙くんがあたしの手元の紙を見て、にんまりと笑みを浮かべる。
「好きな奴のとこに行くのか」
「うん。でも学部はちゃんと自分で決めたからね」
得意げに返すあたしに、大宙くんは「まあ、頑張れば」と、適当ながらも応援してくれた。
「そういえば、大宙くんはこれから企業見学なんだっけ?」
「おう、頑張ってくる。今からいいところ見せとかねーといけないからな」
いつもは崩している制服も、今日ばかりはきちっとしている。
気合を入れるように、さらにネクタイを締め直すと、ガラリと教室のドアが開いて、誰かが入ってきた。
「先せ……。……あ」
先生が来たのかと思い、立ち上がったあたしだったけど、そこにいたのは予想とは違っていた人物で。
「おはよう。大宙くん、如月さんも」
……天川さん。