翌日、深夜に帰ってきたお母さんに、進路希望の紙にサインをもらった。
サインをもらった紙の横に、今日も諭吉がいる。
……それだけ。
「大丈夫。陽が応援してくれるから」
味方がいないわけじゃない。
あたしは、サイン付きの進路希望表を手にして、夏休みで人がまばらな学校へ向かった。
今日は、担任の先生に進路希望表を受理してもらえばそれで終わり。そのあとは、受験生らしく図書館で勉強でもしようと思っている。
夏休みに学校に来るのは、部活動のある後輩たちと、就職を目指す3年生ばかりだけど、もし陽がいたら勉強教えてもらいたいなぁ。
そんなことを思いながら進路指導室に入ると、そこにいたのは昨日に引き続き大宙くんだった。
「どうも、大宙くん」
「おう」