ため息が出る。


こういう将来に関わる大事なことこそ、親に相談に乗ってもらいながら決めたかった。


あたしのメールの数分後に返ってきた母親からのメールは、たった一言【そうなの、わかったわ】だけ。


期待してはいなかったけど、“頑張れ”など背中を押すような言葉はどこにもなかった。


俯くあたし。立ち止まって自嘲気味な笑顔を浮かべながら、真っ黒なコンクリートの地面を眺める。


すると、その時携帯電話がブルブルとせわしなく震えて、着信を知らせる。


メールじゃない、電話だ。


ディスプレイには、“有明 陽”の文字。


一瞬ドキッとして、すぐに落ち着いてから通話ボタンを押した。


「……もしもし、陽?」


〈あ、朔乃先生。お久しぶりです、有明です〉