「頼むっ」


「う、うんっ……」


第一走者の人が第二走者の人にそう言ってバトンを渡そうとしたけど。


「あっ……!」


――カラン。


走る前からひどく緊張していた第二走者の人が、バトンの受け取りミスをしてしまった。


〈ああーっと!トップを走っていた3年2組が、ここで痛恨のバトンミスー!〉


黄色のバトンが地面に転がり、落とした子は顔面蒼白。


トップだったはずのあたし達は、たちまちビリになってしまった。


このままじゃ……!


「大丈夫だから!まだ終わってない!」


涙目になるその子にあたしは必死で声をかけると、なんとかバトンを拾ってリレーに戻る。


今、一番前を走っているのは天川さんのクラス。


半周ほどの差をつけられ、あたしのクラスもやっと第三走者へとバトンが渡った。


「ご、ごめんなさい、私……」


バトンを落とした子が、走り終わったあと、アンカーであるあたしに謝ってきた。