「有明くんの好きな子って、天川さんでしょ?」


「うん。そう」


タコさんウインナーをひとつ口に放り込み、あたしは頷く。


どうやら星奈も、さっきの天川さんと有明陽の様子を見ていたらしい。


「まあ、でしょうね。あの感じじゃ……」


星奈が苦笑する。


誰がどう見たって、あの有明陽の目は、天川さんに恋をしている目だ。


「大丈夫なの?ほんとに朔乃が先生で」


「ちょっとー。さっきから失礼じゃないですかー、星奈ー」


念を押すように、かつ心配そうに星奈がしつこく聞いてくるから、あたしは少し不機嫌になって口を尖らせた。


だけど、星奈は真剣な顔で。


「だって、朔乃の恋愛の仕方と、有明くんの恋愛の仕方は全然違うでしょ」


それは……そう、なんだけど……。


星奈の言葉に、言い返したいのに口ごもってしまう。


だって、星奈は間違ったことを言ってないから。


あたしが誰かと付き合う理由は、とんでもなく自分勝手な都合で、不純極まりない。


有明陽の気持ちとは全然違う。


そんなあたしが、まっすぐに天川さんに恋をしている彼に教えられることなんて……。