負けたくない。
ここで天川さんに負けてしまえば、もうあたしが彼女に勝てる所なんてなくなってしまう。
陽が、あたしと天川さんのどっちを応援してくれるのかわからない。
でも、絶対に勝ってやるんだから……!
強い思いを胸に、あたしはリレーに臨んだ。
「いちについて、よーい……」
――パンッ!
ピストル音と共に、第一走者目の人がスタート。
〈さあ、始まりました、女子による400メートルリレー! 現在トップを走るのは……3年2組です!〉
あたし達のクラスは、第一走者の人が陸上部ということもあり、いきなりトップに躍り出た。
「頑張れーっ!!」
自分の番を待つ間に、必死に声援を送る。
このままいければ、トップを独走できる!
そう思った矢先。
第一走者から第二走者にバトンが渡ろうとした時に、予想もしていなかったことが起きた。