「有明くんから、よくあなたのお話聞いてます。すごく良くしてもらってるって」


「え?いや、はぁ……」


にこにこと、柔らかな笑顔で話しかけてくる天川さん。
じゃなくて、何であたし天川さんに話しかけられてんの?


ま、まさか……陽のことばかり探してて全然気づかなかったけど……。


「も、もしかして天川さんも、リレーに……?」


混乱する頭でやっとそれだけ聞いてみると、天川さんは「はい」とふんわり答える。


「何でかアンカーに選ばれちゃって……。お手柔らかにお願いします」


まさしく、おしとやか。
天川さんが、まさしくそんな言葉が似合う様子で微笑む。


あたしには、到底できない、女の子らしい姿。


それなのに、スポーツまで出来るなんて。


その瞬間、さっきまで比較的に穏やかだったあたしの心に、闘志という名の炎が宿った。



「……負けませんので」



今日だけは。絶対に。