周りの目なんて気にしない。


陽に伝えられれば、それでいい。


だってあたしは、陽を導く“先生”だから。



「1回失敗したくらいで、うじうじ落ち込んでんじゃないわよーーーっ!!!」



叫び終わると、選手たちを応援する声であふれていたグラウンドが一瞬静かになる。


〈な、謎の声援が飛んできましたが……有明選手はどうするのでしょうか……〉


放送部がマイク越しにそうつぶやいたあと、肩を上下するあたしを、みんなが何事かと騒ぎながら見てくる。


でも、あたしは構わない。


陽が、笑顔で大きく頷いて、真っ先に走っていってくれたから。


背中を押すことができたのなら、それでいい。


「天川さん!一緒に来てください!」


陽が向かった先は、応援席で自分のクラスを応援していた天川さんのところ。


「えっ?あ、あの……」


戸惑う天川さんの手を取り、陽は再び走り出す。