「そっか……。だから、どうすればいいかわからないんだね……」


あくまであたしの予想だけど、陽の借り物が何なのか、どうして借りに行けないのか。


あんな切なそうな陽の顔を見たら、その理由がすべて理解できた。


思わず小声でつぶやいたあたしに、星奈が「え?」と聞き返してきたけど、それには答えず、



「陽ーーーっ!!」



代わりに大きく息を吸って、彼の名前を叫んだ。


「え、ちょ、朔乃!?」


星奈だけでなく、全校生徒や保護者の人達、先生たち、その場にいたすべての人達の視線が一気にあたし1人に注がされる。


あたしは、もう一度口元に手を添え、腹の底から大きな声を出した。


「陽ー!! あんたの思う通りにしなさーい!!」


陽が驚いたように目を丸くする。


「自分の気持ちに正直になりなさーい!!」


「朔乃先生……」