「大丈夫だよ、有明くん」


「俺に貸せるもんあったら貸すからよ!」


「緊張するなら、てのひらに“人”書いとけ」


これまで好成績をおさめているあたしたち2組。


自分が足を引っ張らないか不安そうな陽に、クラスメイトたちは優しく声援を送った。


「ありがとうございます……!僕、頑張ります!」


陽は沈んだ顔をたちまち笑顔に変えて、招集場所へと走っていった。


天川さんに、少しでも良いところ見せられるといいね。


大宙くんになんか、負けちゃダメだよ。


その背中を見送ると、今行われていた競技が終了し、とうとう陽の借り物競走が始まった。


借り物競走は、午前の部最後の授業。


前半戦の終わりで点数を取れれば、昼休み明けの後半戦のモチベーションも上がるというもの。


陽は、みんなの期待を一身に背負い、レースへと臨んだ。