「陽っ!? ちょっと、大丈夫!?」


心配になって大きな声になると、クラスのみんなも何事かとこちらにやってくる。


「有明?」「どしたの、有明くん?」と、みんなが陽に声をかける。


だけど、陽は意外な言葉を口にした。



「き、緊張してきました……」



それまでざわざわしていたみんなが、一瞬水をうったように静かになった。


……へ?緊張?


〈借り物競走に出場する選手は、招集場所に集まってください。繰り返します。借り物競走に出場する選手は……〉


その時、ちょうど借り物競走の選手の招集を知らせる放送が響き渡った。


借り物競走……うちのクラスは、陽だ。


「……なるほど。自分の出番が迫ってきて、一気に緊張してきたのね」


あたしの言葉に陽はこくこくと頷き、それを見たクラスメイトたちは「なんだー」と安堵の息をついた。