そういえば、まだ大宙くんのこと、陽に話してなかったな……。


でもさすがに、諦めるようにしろって言われたなんてとても言えないし、また今度でいっか。


「……の先生」


そんなことをぼんやりと考えていると、近くからそんなような声が聞こえて、あたしはなんとなく後ろを振り返る。


「うひゃあっ!?」


噂をすれば、顔を真っ青にした陽がそこにいた。


考えていた人間がそこに現れたので、あたしは自分でも大袈裟だと思うくらい驚いてしまった。


「朔乃先生……」


「ど、どうしたの?」


陽はひどく血の気の引いた顔色で、たぶんまだ走っていないはずなのに、やたらと汗をかいている。


具合が悪いのかな?もしかして熱中症!?