「そうだよ、あの人。心から好きだって思える人に出会ったの」
き然とした態度で、あたしはしっかりとハヤトを見据えて言った。
あたしの言葉に、ハヤトは心底驚いたのか、目を丸くしている。
「お前……」
あたしは、陽に対して抱いてる気持ちを、そのまま素直に伝えた。
「陽は、確かに他の人よりおとなしくてあまり目立つタイプじゃないかもしれない。
でも、ハヤトみたいに、恋人がいるのにナンパしてくるようなだらしない人じゃない。
すごくまっすぐで優しくて心が綺麗で、誰よりも輝いてるんだから!」
そこまであたしが言い終えると、改札のほうからパタパタと陽が走ってきた。
「朔乃先生ーーー!」
「陽!」
あたしは、変に誤解されたくないので、慌ててハヤトから離れる。
「お待たせしました!券売機並んでて……って、そちらの方はお知り合いですか?」
「うん、元カレ」
陽は何故かハヤトに丁寧に挨拶していて、礼儀正しい陽につられてハヤトもお辞儀。
その光景がなんだかおかしくて、思わず笑ってしまった。