紙袋から見える買った洋服。


ドリンクをつぎにいってくれる後ろ姿。


今日だけで、陽はどんどん変わっていく。
それは全て、天川さんのため。


いいなぁ、天川さん。
こんなに純粋にまっすぐに、こんなにも強く愛されて。


天川さんへの羨ましいという気持ちと、陽が変わっていく寂しさという気持ちが、ぐちゃぐちゃに入り混じる。


「お昼食べ終わったら、本当の目的だった映画に行きましょうね」


「うん。順番おかしくなっちゃったね」


本当は、映画のあとお昼ご飯で、映画の感想などを話しながら食事を楽しむ予定だった。


まあ、今日は練習だから、本番できちんとできればそれでいいんだけど。


しばらくして、あたしが頼んだオムライスと陽が頼んだカレーライスが運ばれてきた。


「……カレーも美味しそう」


「え?」


あたしはひょいっと自分のスプーンで陽のカレーをすくい、一口頂戴した。


程よい辛さが舌を刺激して美味しい。


「あー、僕のカレー……」


「一口くらいいいでしょー?今日付き合ってあげてるお礼はこれでいいから」


あたしがニッと笑ってそう言うと、陽も少し困ったように笑う。


それから他愛もない話をしながらお昼ご飯を食べ終えると、2人で映画館へと向かった。