ハンバーガーショップなどのファーストフード店は、男の子と出かける時は女の子は嫌がると教えると、陽は「じゃあ……」と無難にファミリーレストランに連れてきてくれた。


「何食べようかな〜」


「遠慮せずに、好きな物頼んでくださいね。朔乃先生の好きな食べ物知りたいです」


メニューを見るあたしを、陽が優しい目で眺めてくる。


ふん……なかなかキュンと来るようなセリフ言えるようになったのね。


「今の言葉、結構よかったよ。本番でも使いな」


「ええっ!? あ、天川さんには恥ずかしくて言えません!!」


……あたしに躊躇なく言えるということは、あたしが全く持って眼中にない証拠。


悪気がないのはわかってるけど、陽の何気ない一言に傷ついてしまうあたし。


顔を真っ赤に染める陽を尻目に、あたしが選んだメニューはオムライス。


「決まりましたか?じゃあ注文しましょうか」


陽は店員さんを呼ぶと、あたしの分も注文を済ませてくれ、そのあとドリンクまで取りに行ってくれた。


一応、デートの練習として、リードしようとしているんだろうな。