あたしがなんとかフォローすると、さっきまで落ち込んでいたはずの陽はたちまち笑顔になった。
「ありがとうございます、朔乃先生!」
「わ、わかったから……。電車来たから乗るよ」
赤くなる顔を見られないように、あたしはそそくさと電車に乗り込んだ。
ショッピングモールへと向かうこの電車は、土曜日ということもあってそれなりに混んでいた。
「陽、大丈夫?」
「はい。……って、こういうことは男の僕が聞いてあげなきゃいけないですよね。すみません」
ドア付近に2人で向かい合わせになって立っている状態。
駅に止まるたびに人が乗ってきて、どんどん密着度が高くなる。
陽との距離が近くなるごとに、あたしの心拍数は上がっていった。
「すごい混んでますね」
陽が苦笑する。
ここまで近づいて、陽がそれなりに身長が高いことが判明して、急に恥ずかしくなってきた。
「そ、そうだね……きゃっ!」
――ガタンッ!
その時、電車が急ブレーキをかけて止まった。
その反動であたしは前のめりに倒れそうになる。ヒールだから、踏ん張ることが難しい。
「朔乃先生っ」