もしかして日和さんとふたりきりなんじゃねえのって、2試合目が終わってから気付くなんて、俺は馬鹿か。


「2試合目も面白かったー! いい試合だったよね」

「強豪同士だかんなー。次やり合うと思うとすっげーびびるけど」


日和さんは終始にこにこしていた。全然バスケのことなんか分かっていないんだろうけど、それでも彼女の横顔は楽しそうで、やっぱりこのひとのこと好きだなって思った。

隣にいられることが嬉しくて、もうさ。不思議なことに、むしろ意識する余裕なんかねーんだ。


「試合も終わったし、そろそろ帰ろっか」


会場がガヤガヤし始めると、日和さんがふいに立ち上がった。同時にふわりと甘い香りが鼻をかすめる。

そういや、学校で会うときよりも少しきちんとメイクをしている気がするし、髪だってゆるい三つ編みにしている。服装もなんつーの、ふくらはぎの丈のひらひらしたスカートなんか穿いているもんだから、いまさら緊張する。

まるで俺の好みをすっかり熟知されているみたいだ。もろタイプだ、やっぱり。


「家まで送るよ」

「え、いいよー。燿くん、試合で疲れてるでしょ」

「いんだよ。俺が送りたいだけなんだから黙ってて。好きな子のこと心配するのは当然だろ」


ほんと、我ながらすげー開き直ってんなって思う。

でも、俺はいま相当浮かれている。日和さんが試合を見に来てくれた。お疲れさまって言ってくれた。たったそれだけで、最高に浮かれている。馬鹿みてえだ。

本当だったら、いますぐぎゅっと抱きしめて、俺のものにしてえんだけどな。さすがにそれは、俺の理性が全力で止めているので、やめておく。