ふと時計に目をやる。もう昼休みが半分過ぎていた。ここからうちのクラスまで約5分。くそ、普段ならもうお弁当を食べ終わっているころなのに。
「じゃあもうあたし帰るから。お腹空いたし」
「おー。弁当ありがとな」
「もう忘れんなよ」
「へいへい」
踵を返してひらひらと手を振ると、慌てて日和がついて来た。
「燿くんホントかわいいな~」
「どこが」
「もー全部だよー! 燿くんとこのカフェ絶対に行こうね!」
嫌だと言っても、どうせ日和にほだされて行くことになるんだろう。でも働いている燿なんて貴重だし、冷やかしにでも来てやろうか。怒るかな。
「それにしても燿くんさー、見るたびに男前が上がっていくよね」
「嘘でしょ?」
「ホントだよ! あれだと女の子も放っとかないだろうなー」
「それならとっとと彼女でも作って落ち着いてほしいよ……」
そしてデートやらなんやらで、あまりうちに帰ってこなくなってくれていい。ソファの上で容赦なく寝やがるの、本当に迷惑なんだ。昔よりも無駄にでかくなったことを自覚してほしい。
燿は小学生のころがいちばんかわいかったなあ。