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結局、燿の試合には3人で行くことになった。

日和と、先輩と、あたし。なんだか変なメンツだなとぼんやり思いながら駅に向かったら、すでにふたりは到着していて、ちょっと慌てた。


お洒落でかわいい日和の隣に並ぶのは嫌だなあと、なんとなく思う。学校では制服だし、水谷先輩もいないからなんにも気にしていないけれど。

そんなことを言うとまた、燿に「少しは気にしろよ」って怒られそうだ。

それでも、きょうは私服で、……先輩もいるわけで。

なんとなくきょうはスカートを穿く気にはなれなかった。日和のゆるい三つ編みヘアを盗み見て、自分の真っ黒な直毛が嫌になる。


きのうの夜、大会はどんなものなのかと弟に訊いてみたら、きょうの試合は準決勝だということを面倒くさそうに教えてくれた。

そしてどうやら、ウィンターカップというのは物凄い大会らしい。

思わず夜遅くまでウィンターカップとやらについて調べてしまった。うちの弟はもしかしたらすごいことをしているのかもしれないって、いまさらながら思った。


「日和ちゃんもバスケ好きなの?」

「わたしは全然。ポジションすら分かんないですよー。シュートが決まったら点が入るんだなって、それくらいしか知らないんです」

「わはは、マジで。じゃあホントに燿のこと見に行くんだなー」

「えー、べつに変な意味はないですよー?」


……べつに、いまさら、日和相手に嫉妬なんかしないけれど。

水谷先輩がだれに対しても優しいひとだってことも、ちゃんと知っているつもりだ。

ただ日和が自然とかわいくて、先輩が自然と優しいだけ。そこにあたしの入る隙がないのは当たり前のことだ。

だからきっと、自分勝手にもやもやしているあたしが間違っている。そんなの分かっている。頭では、分かっている。