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だからといって、弁当を忘れるってのはどういう馬鹿だ。


「なんっであたしが昼休み削って弁当届けなきゃなんないんだよ……」

「いいじゃん。かわいいかわいい燿くんのためなんだからさー」

「なんにもかわいくないわ、あんなもん」


中学から一緒にいる日和(ひより)は、どうしてか燿のことをとてもかわいがっている。だから燿も、とても彼女になついている。


「でもなんだかんだでずっと仲良いよねー」

「はあ? 喧嘩しかしてないよ」

「えーほんとに仲悪かったら口もきかないって」


黙っていたら頭がおかしくなりそうなくらい腹が立つという場合もあります。

きょうだってそう。弁当忘れてることをわざわざLINEしてあげたら、昼休みに届けに来いなんて言いやがった。何様だよ。あんたが取りに来い。

ただ、日和が一緒に行きたいと言ったので、仕方なく届けることにした。面倒くさいことこの上ない。


「少なくとも燿くんは晶のこと大好きだと思うけど」

「気持ち悪い」

「なんでよー。わざわざ晶と同じ高校に進学してくるあたりめちゃくちゃかわいいじゃん。燿くんホントかわいいよ。あんな弟がいて羨ましいなー」


だったらいっそあいつの姉ちゃん代わってくれ。

げらげら笑う日和を横目に、小さくため息をついた。神がかって鬱陶しいあいつを知らないから、日和はそんなことが言えるんだ。