でもまあ、中学生以下の晶と、のほほんとした健悟さんだ。


「分かった」

「へ……」

「いいよ。日曜の夜、3人でメシ行こう」


そんなふたり、進展するのに100万年くらいかかんじゃねーかって思う。俺みたいなのがあいだに入ってやらなければ、どうにかなるもんもならないだろう。

つい最近、玉砕覚悟で告白したやつが偉そうにって感じだけど、姉のためだ。弟がひと肌脱いでやろうではないか。それに、こいつなんかどうせ、どれほどひとりで行けと言っても聞かないと思う。


「ほんとに言ってる?」

「そんな嘘つかねーよ。俺も健悟さんに会いてーし。……あ。ジャンプ1か月分な」

「余裕! ありがとうひかる~!」

「へいへい、どーいたしまして」


それより早く洗面所を空けてほしいんだが。

上機嫌の姉をさりげなく押しやって鏡の前に立ってやった。眼鏡を掛け直して、ちらりと晶の顔を見ると、本当に嬉しそうに口元を緩ませているので面白い。


「……言っとくけど。眉毛描きかけだからな、おまえ」

「えっ? うわ、ほんとだ! おいちょっとどけよ」

「もう俺の番なんで」

「ふざけんなコノヤロー」

「片眉で登校すればいんじゃないっすか」

「そんなに死にてーのかコラ、あん?」


いや、本当にさ。大河もそうだけど、こんなやつのどこに魅力を感じるっていうんだ。家でのヤンキー全開な晶を全世界に発信してやりてーよ、俺は。