きっと全部、俺の独りよがりなんだろう。

俺が彼女をどうしようもなく好きなのも、優しくしたいと思うのも、叶わない想いに悶々としているのも。彼女にとってはきっと、果てしなくどうでもいいことで。


「……なあ、日和さん」


俺は甘ったれで、肝心なことからいつも逃げてばかりのクソガキだ。周りに守られてばかりだ。いつもはむかつく晶にだって、なんだかんだ、ガキのころから相当世話になってきたと思う。

部活だってそうだ。エースだなんだ言われていても、本当は、大河やチームメイトたちに支えられているわけで。


晶はよくそんな俺を、弟気質だとか、かわいがられ方を知っているとか言う。

でも違う。全然違う。本当はそんなんじゃない。


「――俺と付き合おうよ」


いい加減、守られてばかり、支えられてばかりじゃ情けねーよ。

言わなければなにも伝わらないし、行動しなければなにも変わらない。本当はそんなこと、ずいぶん前から知っていたのに。

自分からはなにもしようとせず、気に入らないことがあれば不満を垂れてばかりいた俺は、どうしようもないクソガキだった。


「……ひ、燿くん?」

「ずっと好きだった。日和さんにとっては、俺なんかただの弟みてーなもんだって分かってるけど、……それでも。俺は、日和さんが好きだ」


優しくしたい。守りたいし、傷つけたくない。大切にしたい。俺のなかのそんな気持ち全部をあげるから、彼女にはいつも笑っていてほしい。

でも、たまには俺にも困ってほしいんだ。少しでいいから。ほんのひと欠片でも、日和さんの心を俺にちょうだいって。