毎日大河と寄っているコンビニまで戻り、ふたり分のジュースを買って。日和さんが静かなところに行きたいと言うので、駅の裏の公園に行くことにした。
この公園は、立地条件はいいのに灯りが少なく、夜になるとまったくといっていいほど人がいなくなる。
「……目、赤かった」
「へっ?」
「さっきは暗くてよく見えなかったけど、コンビニで見たとき、やっぱり目赤かった」
夜の公園はあまりに静かで、変に声をひそめてしまう。
「……彼氏と上手くいってねえの?」
単刀直入にしか訊くことができない自分が情けなくてたまらないけれど、気を遣うのも苦手だから、半分は諦めている。
日和さんが情けなく笑った。泣かせてやれない俺も俺だけど、泣いてくれない彼女も彼女だ。ふたりして情けねえなって、ちょっと悲しくなった。
「もうね、最近ダメなんだよね。喧嘩ばっかりで」
「ふうん」
「ほら、うちって物凄い進学校でしょ? でもわたし、卒業後は東京に出て美容師の勉強をしたくって。どうにもそれが彼には理解できないみたいでさー。あんたは親か! って感じだよね」
日和さんにも、彼氏にも。ぶっちゃけ、同情も同調もできなかった。ただ悔しかった。
だって俺、いまはじめて聞いたんだ。彼女の将来のこと。当たり前だけど、俺はなにも知らなかった。
分かっている。日和さんにとって俺なんか『晶の弟』でしかないってこと。分かってはいるけれど、いざこんなふうに突きつけられると、さすがに堪える。