シュートを放った。最近はあまり外さなくなったフリースローを、久しぶりに思いきり外してしまった。
「まあでも、おまえの気持ちは分からなくもないぜ、燿」
「なにがだよ」
「そりゃ、晶さんみたいなキレーな姉ちゃんがいたらシスコンにもなるわな。むしろおれが晶さんと付き合いてえもん」
こいつは正気か? なに? 晶と付き合いたいって?
「ぜってーやめたほうがいいぞ、あんなの。口うるせーし、脚癖わりーし、きっついし。いいとこなんかひとつもねえよ」
「なに言ってんだよ、そういうとこがいいんじゃん? 媚びてないっつーかさ。あー、おれも晶さんに口うるさく叱られてえ~」
「……大河ってソッチの趣味あんの?」
「晶さんみたいなひととカテキョプレイしてみたくね?」
ダメだこりゃ。つか、人の姉ちゃんでそういう妄想をするんじゃねーよ。
かっかと笑いながらシュートを放つ大河を横目に、ひとつため息をついて、俺もボールを放った。今度はきれいにシュートが決まった。
俺はあんな女、ぜってー嫌だけどな。もっとこう、かわいくて優しい、おっとりした女が好みだ。
そういえば、いままで付き合ってきた女は全部そんなような雰囲気だった。どれも長続きしなかったけれど。
当たり前だ。長続きなんかするわけがない。
「俺は日和さんと看護師プレイしてーよ」
「ぶは、燿も大概じゃねーかよ!」
だって、まだ終わる気配のない初恋を、全力で継続中なのだから。日和さんを超える女なんて、たぶん、この世のどこにもいない。