こいつに出会ってからもう18年。やっぱり弟がいたっていいことなんかひとつも無いと、こんなときはいつも思う。
喧嘩は腐るほどしてきた。そのどれもがしょうもないことだ。たとえばこんなふうに、チャンネルを替えたとか、替えられたとか。
気に入らないところを挙げ始めたらキリがない。ちょっとしたことが鼻につく。もうむかついて仕方ない。
でも、きょうだいって、そういうもんだと思う。
「ちょっとお。会って早々、喧嘩なんかしないでよー?」
キッチンから飛んできたお母さんの声に、燿が「だってこいつが」と答えた。いやいや、元はと言えばあんたがチャンネル替えるからでしょうが!
生意気な弟。それでも世界でたったひとりの弟。
鬱陶しいだけの弟。それでもやっぱり、たったひとりの弟。
きっとこれからも末永く、こうして喧嘩をしていくんだろう。
多大なる腹立たしさと鬱陶しさ、それから微量の愛情をぶつけ合いながら。
「あーもう、ほんっとうざい」
「は? こっちの台詞だっつーの」
やっぱり今夜も、うちの弟は最高にむかつく。
【勝手にチャンネル替えんなよ。】おわり