ただいまあ、と。結構大きな声でドアを開けたのに、そこには知らない女の子が立っていて、びっくりした。そして思わずドアを閉めていた。


「いやあの、すみません、間違えました」


あれ、ここってうちじゃなかったっけ。もうひとつ隣でしたっけ。それともあたしに内緒で家族みんな引っ越したのか。


「間違えてねーぞー」

「え?」


閉めたはずのドアがもう一度開く。ひょこっと顔を出したのは見慣れた間抜けヅラの弟で、いろいろと混乱した。いや、いま知らない女の子が見えた気がするんだけど、気のせいですか。


「こ、こんばんはっ。すみません、いまから帰るところだったんですけど……」

「えっ?」


ほら、やっぱり! この子だよ!

よくよく見てみると美少女なその女の子がぺこりと頭を下げたので、あたしもつられて頭を下げた。


「お姉さんですよね! 燿くんからお話聞いてますっ」

「いや、え、まさか」

「あ……えっと、その……燿くんとお付き合いさせていただいてます、柊遥香といいます。よろしくお願いしますっ」

「あ! そうですか! 姉の晶です、焼肉くさくてすみません、弟がお世話になってます」


なんだって。こんな美少女がうちの燿なんかと。冗談でしょ!

しかも礼儀正しいし、服装もきれいな感じだし、話し方もなんだかお上品だし。いいところのお嬢さんなんじゃないの。どこで引っ掛けた。