「ほら!」
どさりと床に落とされたのは、計4冊のフォトアルバムだった。少し触るだけでぺりぺり音が鳴るほど劣化したそれを開くと、ほこりの匂いが鼻をかすめた。
「え……これ、晶?」
「そうそう。んで、こっちが燿でしょ、たぶん」
真っ白なレースがふんだんに使われたふりふりのワンピースを着て、くまのぬいぐるみを抱えている女の子。髪はくるんとしたツインテールにしている。
そしてその隣に、満面の笑みでダブルピースをする男の子。手で顔が隠れそうだ。
リビングのソファでのそのツーショットは、なんだか自分たちじゃないみたいで、変な感じがした。晶が4歳、俺が3歳と、写真の下に書き込まれていた。
「あっはっは! 誰だよこれ! やべえ!」
「ねー。でもこうやって見ると顔そっくりだよね」
「あーたしかに、目元がなあ」
「燿はこのころよく女の子に間違われてたもんね」
「もうホントすっげー嫌だったよ」
当時、俺たちはよく姉妹に間違えられた。俺なんかちゃんと男の子の洋服を着ているのに。ふざけんなって。
いやでもまあたしかに、自分で言うのもなんだけど、かわいいと思う。これは女の子でもいけてたと思う。いや、だからといって決してそうなりたいわけではないが。
むしろ、かわいいと言われることは、ちょっとコンプレックスでもあった。